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低用量ピル

低用量ピル

経口避妊薬は日本の厚生労働省の認可がおりてからまだわずかに8年しかたっていませんが、アメリカやヨーロッパでは40年の歴史があります。さらに副作用を抑えるための低用量ピルは30年以上の歴史をもち、現在では世界中で何億人ものひとが利用しています。避妊効果は飲み忘れがない限り、ほぼ100%近く、コンドームより避妊効率は高いことが明らかにされています。
本来は避妊を目的に開発された薬ですが、多くの人が使ったのでピルを飲むと生理痛が軽くなること、出血量が減ること、生理の周期が順調になって、肌あれやにきびが少なくなること、生理前の気分の落ち込み(月経前緊張症、月経前症候群)が軽くなることが明らかになってきました。このような避妊以外の副効用を目的にピルを使う人が、現在日本ではピル利用者の60%以上になっています。


ピルの副作用で最も問題となる点は血液が固まりやすくなる点です。ピルは女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)の薬ですが、女性には生理やお産といった出血がつきものであるために女性ホルモンには血液中の血液を固める成分(凝固因子)を活発にするはたらきがあります。ただし、妊娠中には女性ホルモンのレベルは妊娠する前の何百倍ものレベルになりますので、無事に妊娠を経験された方にはこの副作用はまったく心配のないものと考えてよいでしょう。分娩経験のない方ではピルを使っている間はなるべく、水分(ナトリウムやカリウムなどの電解質のはいっているスポーツ飲料が望ましい)をとってください。また、なるべく長時間じっとしていないで、足を動かすようにしましょう。血液の濃くなることを防ぐこととふくらはぎの部分の血液の流れを滞らせないことが大切です。夏にスポーツをしたあとやサウナの利用後、低用量ピル長時間飛行機に乗ったあとは特に水分補給に気をつけてください。この副作用の症状としてはまず、ふくらはぎの中の静脈がつまるため、膝より下の足が赤く腫れて痛みがでてくることが多いです。ピルを利用しているときにこの症状があれば処方をうけているクリニックに相談して下さい。たばこはピルと同じように血液を固まりやすくする作用があります。血液が固まりやすくなるのは年齢とともに増加しますので、35才以上のたばこを吸う人にはあまりピルをおすすめできません。


このほか、ピルはがんとの関係をいろいろ言われていますが、わずかに増える可能性があるのは乳がんです。子宮体部がん、卵巣がんや結腸がんは減少します。すべてのがんを含めますとピルの利用でがんにかかる人の割合はピルを飲んでいない人と同じです。


ピルを利用し始めてすぐ気になるのは吐き気です。使い始めには、すこしつわり様の吐き気があります。気にならない人もいるようですが、最初の1週間はつらいとおっしゃるかたがピルを始められた方の3割程度おられます。2周期目で吐き気を訴えられる方は3%です。慣れてきますので最初は我慢してください。


このほか、ピルの利用中に気をつけていただきたいのが性感染症です。ピルは避妊方法としてはコンドームなどに比べて効率の高い有効な方法なのですが、感染症の予防はできません。コンドームはクラミジアやエイズの感染をある程度予防しますが、ピルは防いでくれません。もちろん、ピルを生理痛が強いからとか生理の周期が不安定だからという理由で飲んでおられる方の場合は、コンドームを用いていただくことが可能と思います。しかし、一般的にはコンドームを使わなくなってしまうことが多いようですので感染症に対する十分の注意が必要です。年に1、2回くらいは検診を受けて下さい。おりものに異常を感じたり、いつもにない下腹部痛を感じたら婦人科受診をおすすめします。


ピルの避妊以外の効果は明らかで、生理痛がひどくて学校や職場に行けなかった人は80%以上の人が月経中も通常の日常生活が送ることができるようになります。生理の量が多くて貧血がひどかった人も明らかに貧血がよくなります。月経周期の不安定だった人は、90%以上で周期が安定します。特に口から飲む女性ホルモンで周期を作っていくわけですから、何月何日に出血が始まるのか予想は簡単です。また、周期を変更して生理を早めるのも簡単です。にきびも90%以上の方に改善が認められます。皮膚科でビタミンや抗生剤の投与を受けておられる場合は、ピルを併用することによりさらに改善度が高くなります。生理前の気分的なイライラに関しては約半数がピルでよくなるようです。ピルが効かない場合はうつ病の薬を使わなければならないので、ピルがまず第一選択となることが多いのです。
低用量ピル

このようにピルの副効用を並べてみますと、女性として月経周期があるがゆえに苦しんできた様々な症状はピルがかなりの部分、楽にしてくれます。ですから、避妊目的のピルの利用より、現在は仕事に生き甲斐を感じている人や勉強してステップアップを考えている女性に受け入れられているのです

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