女性の病気

女性の病気

矢印 子宮筋腫

矢印 子宮内膜症

矢印 子宮腺筋症

矢印 子宮がん

矢印 卵巣がん

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子宮筋腫

子宮筋腫は子宮の筋肉から発生する良性の腫瘍です。ですからこれが直接の原因となって死に至ることはありません。筋腫のできる場所によって症状が違います。子宮の外側にできた場合にはかなり大きくなるまで気づかれないほど症状は少ないです。一方、子宮の内側、子宮内膜側にできた場合には小さい筋腫でも過多月経、不正出血や不妊の原因となります。
症状や患者さんの年齢、妊娠を希望するかどうかなどにより治療方法が違います。主治医と十分相談して納得いく方法を決める必要があります。
治療法には筋腫のみをとる手術、子宮全体をとる手術、放射線の透視下に筋腫を栄養する血管に栓をする方法、超音波を用いて筋腫を砕いていく方法、薬物療法があります。
現在のところ、放射線を使う方法と超音波をつかう方法は保険適応がありません。手術は古くから行われているもっともポピュラーな方法ですが、最近では腹腔鏡を用いた手術方法もしばしば用いられるようになりました。
特に子宮の内側に発育する筋腫(粘膜下筋腫)は症状が強く、手術による治療が早い時期に必要です。粘膜下筋腫には子宮鏡という内視鏡をつかって内腔に発育する筋腫を削り取る方法が主流です。入院日数も短く、お腹を切らなくてすむ体への負担が小さい、非常に有効な方法です。
薬物療法としては子宮筋腫が女性ホルモンに依存した腫瘍であるため、卵巣の働きを薬物により一時的に抑えて筋腫を小さくしていく方法が主流です。当然、副作用として更年期障害がおこります。他の副作用として骨のカルシウム量を減らしてしまいますので、あまり長期間使うと将来の骨粗鬆症が心配されます。この薬剤はあくまで筋腫を小さくはしますが決してなくならせるものではありませんので、薬剤を中止して2年、3年とたつうちに筋腫が元通りの大きさになっていることもしばしばです。値段の高い薬でもあり、どの人にも使うことをお薦めできる薬ではありません。
このほか、筋腫によって起こる過多月経からの貧血には鉄剤を、月経痛には痛み止めや経口避妊薬も症状を和らげる薬剤としては重要です。

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子宮内膜症

子宮の内腔には月経周期にあわせて発育する子宮内膜があります。この子宮内膜が卵管を通って腹腔内(お腹の中)に逆流し、腹腔内の腹膜上で発育した状態を子宮内膜症といいます。
こういう書き方をすると何やら難しそうですが、簡単にいうと子宮以外で起こるはずのない月経がお腹の中のあちこちで起こっている状態と考えてください。子宮内膜症がよく起こるのは、子宮の近くに多く、最も多いのが左右の卵巣から子宮の裏側です。子宮内膜症の一番の症状は強い月経痛です。子宮以外の場所で起こるのですからその刺激は強いことが推測されます。子宮内膜症
月経痛の他に、女性ホルモンのレベルの高い時期(排卵期)に下腹部に痛みを起こすこともあります。この痛みを人によっては排卵痛として自覚されることもあります。正確には子宮内膜症である診断はお腹の中に子宮内膜があって炎症を起こしていることを確認することによります。それにはお腹を切る手術や腹腔鏡といった内視鏡が必要です。
しかし、みんなのお腹をあけて確認することはできませんので、一般の婦人科外来では内診や超音波検査により内膜症であろうという診断を下します。卵巣が働いている女性では、あら探しすれば、多かれ少なかれ子宮内膜症を持っていることが多いのですが、症状や病変の大きさによってあなたは子宮内膜症ですとかそうではありませんとかいう診断となります。
子宮内膜症は腹腔内で月経を起こし、炎症を誘発します。お腹の中の臓器は自分の命を守るために炎症範囲を広げないように、限られた場所に留めておくために炎症の周りの臓器が炎症にかぶさるように寄ってきて炎症を閉じ込めようとします。最終的に臓器と臓器がくっついてしまう状況が起こります。これを癒着といいます。子宮内膜症は卵管から月経血にのって子宮内膜が逆流して起こりますので、卵管の出口周辺に最も多く発症します。


次に、立位のときに腹腔内で最も低い場所になる子宮の裏側、子宮と直腸の間に病変が起こりやすいです。子宮内膜症がすすむと卵巣、卵管、子宮、大腸、骨盤の壁など周囲の臓器を巻き込んだ癒着が重くなります。卵巣チョコレート嚢腫は代表的な子宮内膜症の病変ですが、これは卵巣と卵管や子宮など他の臓器が癒着したすきまに子宮内膜が発育して、月経を繰り返し、癒着の隙間に古い血液がたまり、嚢腫様になった状態です。古い血液はチョコレートに見えるのでこの名前がついています。癒着は卵管や卵巣の位置関係や動きに大きく影響するため、不妊症の原因となります。


子宮内膜症の0.5~1.0%に卵巣がんが含まれているという報告があります。ですから子宮内膜症も経過観察が重要でチョコレート嚢腫が大きい場合、急速に大きくなる場合、一部破綻を来す場合などはMRIなどの画像撮影や血液中の腫瘍マーカーをはかったりして悪いものかどうかの判断が重要となります。卵巣がんの項目で書きましたように早い時期に悪いものをみつけるためにはやはり手術や腹腔鏡でチョコレート嚢腫をとって顕微鏡で確認する検査を行わないとできません。
妊娠成立に対する影響(卵管がどのような状態なのか)とがんの心配の2点から子宮内膜症に対する手術、腹腔鏡が行われます。妊娠の希望がなく、悪いもの(がん)である可能性が低い内膜症の患者さんは主に手術ではなく、薬による治療が中心となります。月経痛の強い場合は痛み止め(バッファリンなど)を、それでも日常生活にさしさわりがある場合には経口避妊薬(低用量ピル)が有効です。避妊薬は排卵を止めますので排卵期の痛みもなくなります。また、子宮内膜の発育を抑えますので月経血量が減少して痛みを軽くしてくれます。子宮内膜症は子宮の外で子宮内膜が発育することで起こる病気です。経口避妊薬はその子宮の外の子宮内膜の発育も抑えますので子宮内膜症が悪くなるのも防いでくれます。現実に経口避妊薬を服用している人には子宮内膜症が少ないことが明らかにされています。このほか、子宮内膜症は女性ホルモンに依存した病気ですので、治療薬としては子宮筋腫の治療薬でもある更年期障害を起こすような治療薬(GnRHアナログ)も有効です。筋腫の場合と同様にこの薬で内膜症は一時的には明らかに改善します。しかし、まったく内膜症がなくなってしまうわけではないところが問題です。薬の種類にはあとひとつ、男性ホルモンの誘導体の薬があります。これは20年前には子宮内膜症治療に主流の薬でした。副作用に肌荒れと体重増加があるために女性には嫌われることが多いようです。近いうちに黄体ホルモンの内膜症治療薬が厚生労働省の認可がおりる予定です。経口避妊薬とよく似た作用で子宮内膜症に効果が見込まれます。黄体ホルモンには経口避妊薬に比べて血が固まりやすくなる副作用がないので安全と思われますが、やや不正出血の頻度が高くなるかもしれません

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子宮腺筋症

子宮内膜症が子宮の外、骨盤内で発育する子宮内膜により引き起こされる病気であるのに対して、子宮腺筋症は子宮内膜が子宮の筋肉の中で発育した状態をいいます。子宮筋腫は正常の筋肉と明らかな境をもった塊として存在しますが、子宮腺筋症は正常な筋肉のなかにだらだらと(びまん性に)広がり、正常筋肉との間の境がわかりにくく発育します。ですから子宮筋腫では正常子宮を残して筋腫だけを摘出する手術が比較的容易であるのに子宮腺筋症は病気の部分だけを手術で取り除くのが難しいのです。
原因は明らかではありません。まったく経験的なことですが、月経不順の期間が長かった方には子宮と卵管のつなぎ目の部分に発生する腺筋症が多いように思われます。また、子宮、卵巣が十分に成熟する前に人工妊娠中絶手術を受けられた方に子宮体部の腺筋症が多いように思います。
過多月経、月経困難、不妊症の原因となります。治療は痛みに対して痛み止め、それだけで不十分な場合は経口避妊薬が有効です。妊娠を考えた場合には更年期障害の起こるような薬(GnRHアナログ)が優先されます。腺筋症も筋腫や内膜症と同じようにこの治療でいったん軽快はしますが完全には治らないので、治療から時間がたつとまた悪くなっていることが多いようです。

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子宮がん

子宮がんには主に子宮体部(子宮の奥の胎児が入る場所)の内側の子宮内膜に発生する子宮体部がん、子宮頚部(入り口部分、腟につながる場所)にできる子宮頚部がんがあります。あと、頻度は少ないのですが子宮筋腫とよく似ている子宮の筋肉や子宮内膜に発生する子宮肉腫があります。子宮頚部がんが最も多く、日本では約7割を占めます。

子宮頚部がん


99%以上はhuman papilloma virus(HPV)というイボをつくるウイルスの仲間が原因になります。HPVウイルスの特殊なタイプに感染したひとのなかで遺伝素因や免疫状態によってアンラッキーなひとが子宮頸部がんになります。ウイルスに感染した人がみんながんになるわけではありません。HPVのなかでも特にタイプ16により発生してくる子宮頸部がんは感染から比較的早い時期にすすんだがんになることがあるため注目されています。最近では風疹などのウイルス性疾患と同様にタイプ16のワクチンが開発され実用化の方向にあり、あと少しで厚生労働省の認可がおりようとしている段階です。このワクチンが実用化されれば20才代、30才台の子宮頚部がんはほとんどなくなると思われます。子宮がん
子宮頚部がんの検診方法は非常に科学的に確立された方法です。基本は子宮の入り口部分の細胞を綿棒やはけでこすりとり、それを顕微鏡で専門家がみることにより診断されます。前癌病変からの変化もかなり研究されていてほんの少しの異常があった人の経過観察方法もしっかりしています。性交渉の経験がある方は年に1回程度検診を受けてください。

子宮体部がん


頚部がんに比べて子宮内膜がんの細胞診による診断は様々な理由で難しく、子宮体部がんは頚部がんに比べて検診の体制が十分確立しているとはいえません。月経周期の安定している方には子宮体部がんの検診の必要はほとんどないと思われます。月経周期が非常に不安定な方や閉経周辺期以上の年齢層の方は検診を受ける意義があります。体部がん検査には細胞や組織の検査と同様に超音波の検査が重要です。

子宮肉腫


頚部がんや体部がんに比べて非常に少ない悪性の病気です。一般的には前の2つよりずっと悪性度が高く、治療は困難であることが多いです。大きな子宮筋腫が見つかった場合には必ず、子宮肉腫のチェックが必要です。診断にはLDHという血液中の酵素の測定と画像診断のMRIが役に立ちます

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卵巣がん

卵巣には卵や卵の周りの細胞、それを支える組織などいろいろな種類の細胞があります。そのどの種類の細胞からでもがんが発生する可能性がありますので卵巣がんにはいろいろな種類のがんがあります。
女性ホルモンなどのホルモンを作るがんや卵から発生するので若い女性ばかりに起こるがんなど、がんの発生した細胞の種類により特徴的な症状が出るものもあります。最も多いのは排卵した後の卵巣の腹膜の修復部位から発生する卵巣がんです。
ですから例えば経口避妊薬(ピル)で排卵を止めた場合には卵巣がんの発生率が下がることが知られています。このほか、日本人では卵巣にできる子宮内膜症から子宮内膜がん類似の卵巣がんの発生が欧米人に比べて多いこともわかっています。子宮内膜症による卵巣チョコレート嚢胞の0.5~1.0%にがんが見つかるといわれています。
卵巣はお腹の中にある臓器で、腫瘍が見つかっても子宮がんと違って、外来で簡単に細胞や組織を直接とって顕微鏡で調べて良性、悪性の判断をすることができません。初期の卵巣がんの診断は超音波やMRIなどの画像撮影や、採血で血液中の腫瘍マーカーを測って悪性かどうかの推測を行い、怪しい場合にはお腹を切って腫瘍をとり、腫瘍の組織を顕微鏡で確認して診断します。ですから、初期の卵巣がんが見つかることは偶然のことが多いのです。
卵巣がんは子宮頚部がんに比べて遺伝性が強く、近い肉親に卵巣がんがある場合には定期的に検診を受けるようにしてください

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