女性の健康

15~45歳くらいの健康な女性には月経周期(生理の周期)があり、これが定期的であることは健康のバロメーターとなります。体調不良、精神的なプレッシャーは月経周期を変調させる原因となります。ここではまず、正常の月経周期とはなにかと、その調べ方である基礎体温の測定について書きます。
乳房の発育が始まるころから、月経周期が規則正しくなるまで(およそ10~18歳)を思春期といいます。また、月経周期が乱れだしてから閉経後2年くらい(およそ45~55歳)の時期を更年期といいます。
この2つの時期は女性ホルモンレベルが月経周期の範囲を越えて変調する時期です。肉体的、精神的に様々な不都合が起こってくる可能性があるのも当然といえます。これらの時期のことについては別に項目を作っています

矢印 月経周期

矢印 基礎体温の測定について

矢印 思春期

矢印 更年期

矢印 低用量ピル

| | コメント (0) | トラックバック (0)

月経周期

女性と男性の性・生殖で最も異なる点は、女性には月経周期という周期が存在することです。周期があるということは昨日と今日が体調も気分も少し異なる、変化することを意味します。男性には生殖の面でのこのような周期は存在せず、昨日も今日も明日も同じなのです。


日本産科婦人科学会の定義では、月経とは約1カ月の間隔で起こり限られた日数で自然に止まる子宮からの周期的な出血をいいます。
月経周期日数(始まりから始まりまで)は25~38日、その変動は±6日、出血持続日数3~7日、月経血量20~140mlが普通です。
月経周期は子宮の出血の周期です。子宮は赤ちゃんをその中で育てるための入れ物ですから、胃や腸と同じようになかに物が貯まるようになっています。そしてその内側をかたどって、赤ちゃんが着床するベッドの役割を持つ子宮内膜があります。


この子宮内膜は卵巣で作られるエストロゲン(卵胞ホルモン、女性ホルモンの一種)の作用で細胞分裂が促され、月経周期の前半(月経開始から排卵まで)に内膜の厚さを増して発育します。エストロゲンは卵胞(卵巣で卵が発育、成熟してくると卵の周りに液体がたまってだんだん大きくなってくるのでこう呼ぶ)の発育に従って多く分泌されるようになります。卵巣では卵胞発育がある程度(2cmくらい、月経開始ころには3~5mm程度だった)に達すると排卵がおこります。排卵がおこったあとの場所に黄体とよばれる黄色い部分ができます。ここでプロゲスチン(黄体ホルモン、女性ホルモンの一種)が作られます。プロゲスチンは排卵した卵が精子と出会って受精した場合に赤ちゃん(受精卵、初期胚)を受け入れる(着床)ための子宮内膜を変化させます。赤ちゃんが着床した場合には胎盤ができて、胎盤から卵巣を刺激してエストロゲンとプロゲスチンを続けて産生するような命令がでますので子宮内膜はこれらの女性ホルモンに刺激されて月経が来ない、つまり妊娠の状態となります。


着床がなかった場合には卵巣の黄体の働きは排卵後約2週間で低下します。その結果、黄体から分泌していたエストロゲンとプロゲスチンの血中濃度が下がり、子宮内膜が維持できなくなって、子宮内膜が根こそぎ剥がれて落ちます。これが月経です。いままであったエストロゲンやプロゲスチンがなくなると子宮に収縮が起こり、これが月経痛として感じられます。この収縮が内膜の剥がれた後の出血を止める働きをします。まったく痛みのないだらだら続く出血は月経ではなく不正出血の可能性があります。

基礎体温はプロゲスチンによって上昇します。排卵後、黄体がつくられて、プロゲスチンの分泌がはじまることにより高温層になります。月経開始のときには基礎体温は低下しているかその途中であることが通常です

| | コメント (0) | トラックバック (0)

基礎体温の測定について

基礎体温は婦人体温計という特殊な体温計をつかって毎朝目が覚めたときに口の中の舌下で計る体温です。トイレに立つ前に計ることができるように枕元に体温計をおいて眠って下さい。立ち上がってしまうとこの運動によって筋肉から熱が発生します。基礎体温の基礎という意味は筋肉から熱が発生する前という意味です。


なるべく一定の時間の測定が望ましいのですが、朝寝坊する日もあることでしょう。5時間眠ったあとなら大丈夫です。都合で測定できない日があってもあきらめずにその次の日には測定して、測定したポイントを線で結びましょう。外気温に影響されますので寒い日には低くなります。布団をかけていなかった日も低くなります。それでもあきらめずに測定するうちに、なんとなくグラフに見えてきます。継続する根気が大切です。


排卵が起こると体温が上昇します。これは、月経周期の項にも書きましたが排卵後に黄体ホルモンが産生されるためです。一般に体温が上昇し始める直前の最も体温の低い日が排卵日であると記載されていますが、実はその翌日、またはその翌々日が排卵日であることが多いようです。さらに体温が下がってくると月経が始まります。体温の高い期間が14日以上続いた場合は妊娠を疑ってください

| | コメント (0) | トラックバック (0)

思春期

思春期は小児期から成熟期への変化の時期です。更年期と同じようにホルモンレベルでも激動の時期です。同時にこころと体の成長の時でもありますので、さまざまな葛藤や悩みが起きやすい時期でもあります。いろいろな変化について他人と比べて自分はどうだと落ち込んだりしやすいのですが、変化の順番や時期がまちまちで個人差がかなりありますので、少し時間がたってから考えると人との差はあまり意味のないものであることが多いです。


年齢としては8~9才から乳房の発育が始まり、17~18才で成人型の恥毛、乳房の完成で終了となります。あくまでも指標として、からだの変化の平均年齢を羅列していきますと、乳房の盛り上がりは10.5才、恥毛の始まりが11.5才、身長の急激な伸びは11.4才、初経は 12.8才、成人型恥毛は13.7才、成人型乳房は14.6才です。どれも3才くらいの幅を考えて下さい。


年齢順にからだの変化を述べましたが、例えば初経は体重が約40kgに達する頃に起こるなど、個人的な発育の差によって体の変化は異なります。一般的に女性では初経が起こるとその後、身長はあまり伸びなくなります。初経後の月経周期はかなり不安定であることが多く、また、月経痛があったり、なかったり、出血期間が長かったりすることもあります。心配なことがあれば悩んでいるよりお気軽にご相談ください

| | コメント (0) | トラックバック (0)

更年期

個人差はありますが平均で46才前後から月経周期の短縮や延長が始まり、月経周期初期、特に月経期間中に女性ホルモン(エストロゲン)のレベルがかなり下がるため、まず、のぼせの症状が出始めます。まわりの人が涼しいというような季節に一人だけ、首から上の部分だけ汗をかいてしまいます(ホットフラッシュ)。手足は比較的冷えた状態であることが多いようです。といってもこの時期では排卵があることが多く、月経から10~20日には女性ホルモン(エストロゲン)レベルが高くなるのでのぼせはなくなります。
更年期初期は女性ホルモンのレベルはまだらに低くなったり高くなったりする時期です。50才が近づくと月経周期は延長していき、女性ホルモンのレベルが低い日が多くなり、夜間に途中で目が覚めることが多くなります。寝不足のせいで昼間の集中力が欠如するようになります。夜中に目が覚めるのは寝ている間に首から上だけののぼせが起こっているためです。これが典型的な更年期症状で全身のだるさなどはのぼせと夜間中途覚醒が解決するとなくなります。更年期症状は月経が3か月以上開くようになってから平均で2年続きます。梅雨から秋口にかけての季節に症状が強く、冬はどちらかというと過ごしやすいとおっしゃる方が多いようです。

更年期は閉経周辺期に誰もが通る道です。しかし、症状が強く、日常生活に差し障りが出たり、仕事の妨げとなる場合、周囲の人とうまくやれなくなった場合を更年期障害として治療対象になります。
更年期障害は女性ホルモン欠乏が原因ですから、女性ホルモンの補充を行うと劇的に改善します。ホルモン補充は更年期障害の症状を和らげるだけではなく、お肌のつや、お化粧のノリもよくします。服用を始めると中止した時に同じ症状が出ることがあります。

以前はホルモン補充が骨粗鬆症や動脈硬化の予防になるので、更年期女性の必要治療と考えられていました。しかし、最近のアメリカやイギリスの大規模試験で乳癌のリスクを高めることや心筋梗塞、脳梗塞などの循環器疾患を増加させるという結果が報告され、ホルモン補充に慎重になる傾向があります。当院ではあくまでも治療の一環として患者さんとメリットとデメリットを相談してから行っています。

ところでこの年齢の時期には女性ホルモンが減少するだけではなく、夫婦間や親子間で様々な問題が持ち上がったり、社会的な責任による精神的なストレスが多くかかる時期でもあります。ご本人や周囲の方が更年期障害であろうと考えておられても、ホルモンの問題でなく、うつやそれに近い状態であることがしばしばあります。心療内科の先生と相談しながら解決していかなければならないこともあります

| | コメント (0) | トラックバック (0)

低用量ピル

低用量ピル

経口避妊薬は日本の厚生労働省の認可がおりてからまだわずかに8年しかたっていませんが、アメリカやヨーロッパでは40年の歴史があります。さらに副作用を抑えるための低用量ピルは30年以上の歴史をもち、現在では世界中で何億人ものひとが利用しています。避妊効果は飲み忘れがない限り、ほぼ100%近く、コンドームより避妊効率は高いことが明らかにされています。
本来は避妊を目的に開発された薬ですが、多くの人が使ったのでピルを飲むと生理痛が軽くなること、出血量が減ること、生理の周期が順調になって、肌あれやにきびが少なくなること、生理前の気分の落ち込み(月経前緊張症、月経前症候群)が軽くなることが明らかになってきました。このような避妊以外の副効用を目的にピルを使う人が、現在日本ではピル利用者の60%以上になっています。


ピルの副作用で最も問題となる点は血液が固まりやすくなる点です。ピルは女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)の薬ですが、女性には生理やお産といった出血がつきものであるために女性ホルモンには血液中の血液を固める成分(凝固因子)を活発にするはたらきがあります。ただし、妊娠中には女性ホルモンのレベルは妊娠する前の何百倍ものレベルになりますので、無事に妊娠を経験された方にはこの副作用はまったく心配のないものと考えてよいでしょう。分娩経験のない方ではピルを使っている間はなるべく、水分(ナトリウムやカリウムなどの電解質のはいっているスポーツ飲料が望ましい)をとってください。また、なるべく長時間じっとしていないで、足を動かすようにしましょう。血液の濃くなることを防ぐこととふくらはぎの部分の血液の流れを滞らせないことが大切です。夏にスポーツをしたあとやサウナの利用後、低用量ピル長時間飛行機に乗ったあとは特に水分補給に気をつけてください。この副作用の症状としてはまず、ふくらはぎの中の静脈がつまるため、膝より下の足が赤く腫れて痛みがでてくることが多いです。ピルを利用しているときにこの症状があれば処方をうけているクリニックに相談して下さい。たばこはピルと同じように血液を固まりやすくする作用があります。血液が固まりやすくなるのは年齢とともに増加しますので、35才以上のたばこを吸う人にはあまりピルをおすすめできません。


このほか、ピルはがんとの関係をいろいろ言われていますが、わずかに増える可能性があるのは乳がんです。子宮体部がん、卵巣がんや結腸がんは減少します。すべてのがんを含めますとピルの利用でがんにかかる人の割合はピルを飲んでいない人と同じです。


ピルを利用し始めてすぐ気になるのは吐き気です。使い始めには、すこしつわり様の吐き気があります。気にならない人もいるようですが、最初の1週間はつらいとおっしゃるかたがピルを始められた方の3割程度おられます。2周期目で吐き気を訴えられる方は3%です。慣れてきますので最初は我慢してください。


このほか、ピルの利用中に気をつけていただきたいのが性感染症です。ピルは避妊方法としてはコンドームなどに比べて効率の高い有効な方法なのですが、感染症の予防はできません。コンドームはクラミジアやエイズの感染をある程度予防しますが、ピルは防いでくれません。もちろん、ピルを生理痛が強いからとか生理の周期が不安定だからという理由で飲んでおられる方の場合は、コンドームを用いていただくことが可能と思います。しかし、一般的にはコンドームを使わなくなってしまうことが多いようですので感染症に対する十分の注意が必要です。年に1、2回くらいは検診を受けて下さい。おりものに異常を感じたり、いつもにない下腹部痛を感じたら婦人科受診をおすすめします。


ピルの避妊以外の効果は明らかで、生理痛がひどくて学校や職場に行けなかった人は80%以上の人が月経中も通常の日常生活が送ることができるようになります。生理の量が多くて貧血がひどかった人も明らかに貧血がよくなります。月経周期の不安定だった人は、90%以上で周期が安定します。特に口から飲む女性ホルモンで周期を作っていくわけですから、何月何日に出血が始まるのか予想は簡単です。また、周期を変更して生理を早めるのも簡単です。にきびも90%以上の方に改善が認められます。皮膚科でビタミンや抗生剤の投与を受けておられる場合は、ピルを併用することによりさらに改善度が高くなります。生理前の気分的なイライラに関しては約半数がピルでよくなるようです。ピルが効かない場合はうつ病の薬を使わなければならないので、ピルがまず第一選択となることが多いのです。
低用量ピル

このようにピルの副効用を並べてみますと、女性として月経周期があるがゆえに苦しんできた様々な症状はピルがかなりの部分、楽にしてくれます。ですから、避妊目的のピルの利用より、現在は仕事に生き甲斐を感じている人や勉強してステップアップを考えている女性に受け入れられているのです

| | コメント (0) | トラックバック (0)